皆さまこんにちは!
店長の前田でございます!
まだまだ寒いですねぇ。
3月より順次西川製品が値上がりするという発表もあり、羽毛ふとんやマットレス、オーダー枕を今のうちに買っておかねば!というお客様が多く、忙しくさせていただいております。
さて、今日は羽毛ふとんのリフォームについてブログを書き綴っていきます。
普段当店でしている羽毛ふとんリフォームの流れを掴んでいただけるかと思うので、
「うちの羽毛ふとん、もう10年以上使っている」
「昔はもっとふっくらしてたのにな…」
「たまに羽根が出てきている…」
なんてお悩みで、リフォームを検討されている方は是非ご一読くださいませ。
まずはご相談
先日、大阪府枚方市にお住まいのお客様から、羽毛ふとんのお手入れについてご相談を頂きました。
「昔に買った羽毛ふとんが2枚あります。穴も開いてて…どうしたらいいでしょう。」
とのことで、実物を拝見させていただくためにお店から30分かからないくらいのお宅まで訪問。
私どもSleep Smileのスタッフは全員が「羽毛ふとん診断士」の資格をもっており、いつでもご相談にのらせていただけます。
当日は私が訪問させていただき、「リフォームできる(するべき)」と判断。
リフォームコースの大枠をお決めいただき、一旦羽毛ふとんをお店に持ち帰りました。
どうして「一旦」持ち帰ったかと言いますと、
一枚は「足し羽毛有りの冬掛けに」⇒A
もう一枚は「足し羽毛無しの合掛けに」⇒B
というご希望だったからです。
イメージとしては、
最も寒い時期にAを使い、
その前後数か月はBを使う、
というご希望です。
厳冬にもしっかりと保温力を発揮するためにはAの羽毛ふとんには少なからず「足し羽毛」をしなければなりません。
(リフォームの工程でホコリ化してしまった羽毛・羽根を振るい落とすため)
となると、ヘタりの進行が軽度な方であり、かつ羽毛(ダウン)の質が高い方をAにするべきと判断しました。
反対に、ヘタっていて、ダウンの質が低い方を冬用にしようとすると、足し羽毛の必要量(追加料金)がさらに増えてしまうことを避けるためです。
このように見た目だけでは判断できません。
したがって、前述の事情をお客様にご説明差し上げ、一旦持ち帰ってベストな判断を行う必要がありました。
お客様もご理解くださり、
「お任せします!」
と言ってくださいました。
生地をチェック
玄関先ではなかなかできない診断が、お店にある大きな診断テーブルでは行えます。
外見上で判断できる生地の傷みはAB共にかなり進行していました。
いよいよ中身(羽毛・ダウン)の診断です。
羽毛の診断
左側は白いですね。
俗にいう「ホワイトダウン」です。
対して右側は茶色っぽいものも混じっています。
「白ければ良い」わけでもなければ「何かが混じっているから悪い」わけでもないのですが、
一般的には「ホワイト〇〇ダウン」は高級な羽毛ふとんによく使われています。
それだけ純度が高いってことですね。
不純物(夾雑物)は少ない方が良いのは確かです。
さて、次は羽毛(ダウン)の種類が一体何なのかを診断しましょう。
よく違いがわからないですよね。
そうなんです。
どちらも似たような(ほぼ同等品質の)ダウンが入っておりました。
こうなるとまたまた肉眼での診断です。
比較
左の方が「大きなダウンボール」の割合が多く見えます。
一般的には、ダック⇒グース⇒マザーグースの順番で、ダウンボールの大きさがアップしていきます。
大きなダウンボールの方が、同じ充填量でも「かさ高」があり、保温力に優れ、耐久性も上がります。
それではこの取り出した羽毛をもう一度ふとんの中に戻しましょう。
(1gたりとも無駄にしたくないので)
ちょっと画像ではわかりにくいですが、
肉眼で見ると明らかに右の方がホコリが多いです。
このホコリは羽毛(ダウン)がちぎれてホコリ化してしまった「ファイバー」と呼ばれるものです。
ランダムに採取した、たったひとつまみ(1g未満)の羽毛に含まれるファイバー量がこれだけ違うという事は、
羽毛ふとん全体に入っている1000g以上ですから、ものすごい差になるはずです。
ダウンボールの大きさ、ファイバー量の少なさ、
今回はこの2点の診断結果をもとに、
どちらの羽毛ふとんをどうリフォームするかを判断しました。
左側を冬にお使いいただくA(冬掛け)に、
右側も冬善後にお使いいただくB(合掛け)に。
出来上がり
羽毛ふとんがリフォームを終え、お店に戻ってきました。
Sleep Smileでは主に「西川」の羽毛ふとんリフォームを利用しており、
ここには全幅の信頼を置いているのですが、(工場にも何度も視察に行っています)
お客様にお返しする前に必ず検品を行っています。
これ、左側が冬用(たっぷり)に、右側を合掛け(軽め)にリフォームしたのですが、
違いがあまりわかりませんよね。
写真映えを意識するなら、この比較写真はいけないのかもしれませんが、あえて掲載しています。
実際には、
持ってみると重さが違ったり、
押してみると戻ってくるパワーが違ったり、
という違いがあります。
1シーズンでも使うとその差はもっとハッキリしてきます。
何が言いたかったかというと、
「新品の状態ではなかなか違いがわからない」という事なんです。
昨今では羽毛の世界的な価格高騰もあり、「軽量」と謳って中身の羽毛の量を減らして販売されている羽毛ふとんもあります。
特に量販店さんなんかは1000g充填が多いですね。
これが良いか悪いかは別として、
「厳冬にしっかりとした保温力」を求めるなら1200gは必要と専門店では考えています。
ダウンボールが大きければ、これはイコールであたたかさ(保温力)と耐久性に直結します。
実際に、
左側は約1300g、
右側は約1000g。
リフォームの工程でしっかりと洗浄と選別をされた新品同様の羽毛だと、
出来上がり時のかさ高はそれほど変わらないんです。
しかしこの充填量の差は、使用開始数年後に現れます。
いざ寝てみると、掛けた瞬間にその違いもおわかりいただけるはずです。
長年、羽毛ふとんを取り扱っている寝具専門店のスタッフであれば、
「羽毛ふとんを持った感じ」でこの違いはわかるのですが、
一般のお客様にはわからないと思います。
私も10年やってきてやっとわかったくらいです。
なので、しっかりと違いを目で見ておわかりいただけるように、このように診断しています。
お納め時には、出来上がった羽毛ふとんと一緒に比較写真を複数枚印刷したものをお持ちしました。
大変ご満足いただき、「使うのが楽しみです~!」とのお言葉も。
「職場の人にも紹介する!」とまで。。
嬉しく、光栄で、この仕事をしていて良かったと思える瞬間です。
ちなみに
しかもこちらのお客様は「ゴアⓇ」の生地を採用したリフォームコースをお選びになりました。
汗や皮脂だけでなく、ホコリやダニ、花粉やPM2.5も通さない特殊な生地で、
かる一般的な羽毛ふとんの生地よりも30%も軽いので、
より一層羽毛が膨れやすくなります。
重度のハウスダストアレルギーや、アトピー体質の方は「羽毛ふとんが使えない」とよく言われますが、
このゴアの羽毛ふとんは「日本アトピー協会」が推薦しているほどの「ホコリが出ない・入らない」品質ですので、安心です。
この先10年スパンでお使いいただける品質になって戻ってきた今回のリフォームでした。